命にかかわる脳血管疾患とは? 種類や症状、治療法を解説
- 健康情報
脳血管疾患とは、脳血管の異常によって起きる疾患をまとめたもので、死因の第4位であり、一命を取りとめても多くの場合重い後遺症が残ります。今回は脳血管疾患について、種類や症状、治療法、原因となる危険因子、予防法を詳しく解説します。
後遺症が怖い脳血管疾患とは
「脳血管疾患」とは、脳血管の異常によって起きる
疾患をまとめたものです。
その中でも「脳卒中」は脳血管が詰まる「脳梗塞」
と、脳血管が破れる「脳出血」、脳の動脈瘤(動
脈のこぶ)が破裂する「くも膜下出血」の3つの疾
患を指す言葉です。令和2年の死因順位別では7.5%
を占めており、悪性新生物(がん)、心疾患、老衰
に次いで第4位となっています。
脳梗塞、脳出血いずれも半身まひや言語障害、認知
機能低下などの症状が現れます。「2019年国民生活
基礎調査の概況」によると、介護が必要となった原
因は「認知症」に次いで「脳血管疾患」が2位でした。
このことから、脳血管疾患は重い後遺症を残しQOL
(生活の質)を下げることがわかります。脳血管疾
患について正しい知識を得て、予防に努めましょう。
こんな症状は脳血管疾患かも? すぐに受診を!
典型的な症状は、顔の半分が動かなくなったりしびれる、片方の手足が動かなくなったりしびれる、ろれつがまわらなかったりうまく言葉を発することができない、という「顔」「腕」「言葉」の症状です。
症状は突然現れることが多いのですが、頭痛、めまい、舌のもつれ、手足のしびれなどの前ぶれ症状が起こることもあります。
突然の激しい頭痛はくも膜下出血の患者さんに多く、「バットで殴られたような頭痛」といわれています。脳血管疾患は一分でも早く専門病院で治療を行うことが重要です。
このような症状が一つでも現れたら、すぐに救急車を呼んで、検査を受ける必要があります。症状が出てから短時間の、急性期にしか行えない治療があるためです。
「顔、腕、言葉ですぐ受診!」と覚えてください。
脳血管疾患の治療法
脳梗塞に対してt-PA(組織プラスミノゲンアクチベータ)という血栓を溶かす治療薬が普及しており、これによる「血栓溶解療法」で完治する可能性が高くなっています。この治療薬は症状が出てから4時間半以内でないと使うことができません。脳出血は少量であれば手術を行わず保存的に様子を見ますが、大量に出血している場合は脳を開けて血種を除去する手術が必要になる場合があります。 また、発症直後からリハビリを始めることが推奨されています。一人ひとりの障害や程度に応じたリハビリを行うことで、後遺症を軽減し、心理的・社会的な回復も期待できます。
脳血管疾患の一番の危険因子は高血圧
脳血管疾患の最大の原因は高血圧です。その他にも、脂質異常、高血糖などのメタボリックシンドロームは動脈硬化を引き起こし、血管が詰まったり破れやすくなる原因となります。不整脈(心房細動)、喫煙、肥満、大量飲酒も危険因子です。
減塩とメタボ対策で脳血管疾患を予防しよう
脳血管疾患の予防のために、血圧が高い方は血圧を下
げることが肝心です。高血圧の最大の要因は、「食塩
の過剰摂取」です。日本人は醤油、味噌、梅干しなど
の食品を好み、外国に比べて食塩摂取量が多いことが
わかっています。減塩味噌や減塩醤油を使う、_油を
かけるのではなく小皿にとって「つけて」食べる、汁
物を飲み干さない、香辛料やお酢で味付けをするなど、
減塩の工夫をしてみましょう。
肥満があって血圧が高い人は、特定保健指導などを利
用して減量すると、血圧が下がる可能性が高いです。
喫煙は、脳血管疾患以外にも、がん、心臓病、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの病気のリスクを高めます。たばこを吸っている人は禁煙してください。お酒は節度ある量を心がけましょう。
予防につながる食べ物としては、野菜や果物、大豆製品があります。ウォーキングなどの軽い有酸素運動で血流をよくすることも効果的です。
そして、高血圧や糖尿病、メタボリックシンドロームを早期発見するために、年に一度は必ず健診を受けましょう。検診で異常を指摘された人は、保健指導や治療を受けて健康管理を続けてください。
特に「心房細動」という不整脈がある人は脳梗塞になる確率が2?7倍ほど高くなりますので、必ず治療を受けましょう。自分で脈を触れて、リズムが一定でない場合、心房細動などの不整脈の可能性があるので、医療機関に相談してください。
規則正しい生活を送り、食事に気を付けて、適切な治療を受けることで、脳血管疾患を予防しましょう。
【イラスト】清水杏里
<参考文献>
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