腰痛の発生要因として、動作要因、環境要因、個人的要因のほか、心理・社会的要因も注目されており、いくつかの要因が合わさって腰痛が発生すると考えられています。
動作要因 |
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・重量物の持上げや運搬、長時間の立位や座位 |
環境要因 |
・車両運転等での長時間の振動 |
個人的要因 |
・筋力の少なさ |
心理・社会的要因 |
・仕事への満足感や働きがいがない |
症状の85%は原因がわからないといわれる腰痛ですが、多くの人が悩まされているのではないでしょうか。今回は、腰痛の発生要因、作業環境改善のヒント、予防体操などをご紹介します。
腰痛とは
腰痛は、診察や検査をしても原因が特定できない
ものの方が多い疾患です。ぎっくり腰は医療機関
では「腰椎捻挫」または「腰部挫傷」という診断
名になりますが、検査をしてもどの組織の怪我な
のか特定できません。
このように、腰痛の85%は原因がわからないとい
われています。残りの15%の原因がわかる腰痛は、
「椎間板ヘルニア」、「圧迫骨折」、「腰部脊柱
管狭窄症」などです。このなかで「椎間板ヘルニ
ア」は脊椎の椎体の間の「椎間板」という軟骨組
織が押しつぶされて飛び出し、神経を圧迫して腰
痛が起きます。
腰痛の発生要因
腰痛の発生要因として、動作要因、環境要因、個人的要因のほか、心理・社会的要因も注目されており、いくつかの要因が合わさって腰痛が発生すると考えられています。
動作要因 |
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・重量物の持上げや運搬、長時間の立位や座位 |
環境要因 |
・車両運転等での長時間の振動 |
個人的要因 |
・筋力の少なさ |
心理・社会的要因 |
・仕事への満足感や働きがいがない |
作業管理
重量物取扱い作業等の腰部に著しい負担のかかる作業は、なるべく自動化を進めましょう。そのほか、運搬物を軽量化したり、台車等の補助機器を導入するなど、省力化を行うことも必要です。自然な姿勢で正面を向いて作業ができるよう、作業台等を適切な高さと位置に設置し、十分な作業空間を確保して下さい。作業台の高さは、緻密な作業では高め、力をかける作業では低めが適切です。
<作業姿勢・動作>
前屈姿勢、中腰姿勢、ひねり姿勢などの不自然な姿勢をなるべく少なくしましょう。不自然な姿勢になってしまう場所では、腰にかかる力を分散させるため、手、肘、体幹、膝などを手すり、壁、床等に着いて支えるようにしましょう。また、適度に休憩、小休止をはさみ、こまめに姿勢を変えましょう。複数人で一つの物を持つ場合は、同じくらいの体格の方と組んでください。
床から荷物を持ち上げる場合は、片足を少し前に出し、膝を曲げてしゃがむように抱えて、腰ではなく脚・膝の力で持ち上げるようにします。両膝を伸ばしたまま体を曲げないようにして下さい。立った状態で荷物を運ぶ際も、荷物をできるだけ体に近づけて、荷物と体が離れないようにします。
<座り作業>
長時間、座ったままでいると背中の筋肉が疲れて前かがみになり、腹筋が緩んだり、太ももが圧迫されてしまいます。足の位置を変えたり、背もたれの角度を変えたり、適宜立ち上がって膝を伸ばすほか、クッション等の腰当てを椅子と腰の間に入れて姿勢を変えてみてください。
<腰痛予防体操>
じっくり伸ばすストレッチは、筋肉への負担が少なく、安全に筋疲労の回復ができ、柔軟性を高め、リラックス効果もあるため、おすすめです。
まとめ
腰痛は生活の質を著しく下げてしまいます。作業姿勢や作業環境を見直し腰痛を予防していきましょう。
併せて読みたい記事はこちら
腰痛に悩まず働く毎日へ
【イラスト】清水杏里
<参考文献>
職場における腰痛予防対策指針
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000034et4-att/2r98520000034pjn_1.pdf
腰痛対策
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/1911-1_2d_0001.pdf