摂食障害とは?心と体、両面のケアが必要!
- 健康情報
食事の量や食べ方に異常が生じ、心と体の両方に影響が及ぶ病気を「摂食障害」と呼びます。「食事を食べられない、食べ過ぎる、食べ物を意図的に吐いてしまう」など、さまざまな症状があります。
摂食障害とは
摂食障害は、極端な食事制限と著しいやせを示す「拒食症(神経性食欲不振症)」と、むちゃ喰いと体重増加を防ぐための嘔吐などの代償行動を繰り返す「過食症(神経性過食症)」にわけられます。
どちらも、“痩せたいという願望”や“肥満への恐怖心”があり、体重や体型をとても気にします。 10代から20代の若者に多く、女性の割合が高い病気です。思春期・青年期の女性のうち拒食症の方は0.1-0.2%、過食症の方は1-3%程度と考えられます。
日本全体の患者数は1年間に21万人とされていますが、病気の自覚がなく受診しない方も多いため、実際にはもっと患者さんは多いと思われます。 摂食障害になってしまうと、心と体の健康を損なうだけでなく、人間関係、学業、職業などの社会生活にも深刻な影響が生じます。
症状
やせや栄養不足のため、月経が止まり、便秘や
低血圧、脱水、体毛が増える、髪の毛が抜ける、
むくみなどの症状が出ます。 自分で口に手を入
れて吐く癖があると、手に「吐きダコ」がみら
れます。患者さんはこだわりが強い方が多く、
過敏で情緒不安定となります。
極端に痩せることで体の合併症を生じ、命の
危険がある場合もあります。拒食症の死亡率
は10%、過食症の死亡率は0.3%といわれて
います。 亡くなる原因として、感染症などの
身体合併症のほか、 自殺も挙げられます。
拒食症
10?19才に多く、40才以上は稀で、患者さんの90%
が女性です。ダイエットや胃腸症状、食欲低下をき
っかけに発症します。背景にストレスを抱えている
方が多いようです。 患者さんは、食事の量や回数
を制限し、太りやすい食物を避けます。やせている
のに太っていると思い込み、少しでも体重が増える
と「どんどん増えるのでは」と考えます。
低体重による悪影響を認めず、食べていなくても活
発に動きまわり、周囲が食事や休養を勧めても従い
ません。これらに加えて、「標準体重の85%以下の
体重」かつ「無月経」の場合に拒食症と診断します。
身長にもよりますが、およそ45kg以下の方は要注
意です。半数の方は空腹に耐えられず、やがてむち
ゃ喰いを始め、過食症になります。
過食症
20-29才に多く、患者さんの90%が女性です。多くの方は発症前にダイエットを行っています。「むちゃ喰い」とは、一気にたくさんの食べ物を食べ、“食べることを止められない“という感覚があります。体重増加を防ぐために絶食したり、わざと吐いたり、下剤・利尿剤を乱用する「代償行動」があります。むちゃ喰いと代償行動が週2回、3か月以上続く場合、過食症と診断します。
治療法
摂食障害は適切に治療すれば治る病気です。体重や食事、栄養だけではなく、心と体の両方の問題を扱っていきます。治療を行うために医療者と患者さんの信頼関係、協力関係を作ることが大切です。そのために、摂食障害という病気の説明をして、回復への動機づけを行います。
身体の合併症があれば治療します。食事・栄養指導を行い、正常な食習慣を学びます。心理療法を行い、他の精神疾患が合併している場合は治療します。薬を処方することもあります。 また、家族の摂食障害に対する理解・協力があると治療を進めやすくなりますので、家族への説明や支援も行われます。 外来治療では回復が難しい場合や、命の危険がある場合は入院して治療することがあります。
まとめ
摂食障害は人間関係や社会生活に大きく影響し、進行すると命の危険がある病気です。ご自身や身近な方が摂食障害かもしれないと思ったら、できるだけ早く専門家に相談して治療を受けることが大切です。
【イラスト】清水杏里
<参考文献>
みんなのメンタルヘルス>こころの病気を知る > 摂食障害(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_eat.html
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