夏といえば、旅行やレジャーが楽しい季節。活気にあふれるイメージがありますが、暑さによる体力の消耗、体のだるさ、やる気が起きないなど、心身の不調につながる夏バテにも注意しなくてはいけません。こんな時に起きがちなのが、自律神経の乱れによる食欲不振。「ダイエットにはちょうどいいかも」と考える人もいるかもしれませんが、放っておくと低栄養という状態に陥る可能性もあります。実は、低栄養は毎日や将来の健康をおびやかす危険もはらんでいるのです。
夏場に増える「低栄養」とは?原因や症状を解説
- 健康情報
低栄養とは?どんな人がなりやすい?
正確な病名ではありませんが、健康を維持するために必要な栄養素が足りない状態を「低栄養」といいます。人間が生きるために必要なのは、米や麺類などの炭水化物、肉類や魚介類などに含まれるたんぱく質や脂質。そして野菜や果物に含まれるビタミン類やミネラルです。このバランスがとれていないと、健やかさを維持できなくなってしまいます。夏場は食欲がないからのどごしのよい麺類だけですませてしまう人もいますが、これだけでは炭水化物に偏りすぎていて栄養バランスも悪く、エネルギー不足になりがちです。
低栄養になりやすい人の特徴
- ・夏バテすると食欲不振になる人
- ・高齢期(65歳以上の人)
- ・食べる量が年々減少している人
- ・ダイエット、太り過ぎを気にして少食な人
- ・誤った健康情報をうのみにして栄養のバランスが偏っている人
- ・BMI数値が20以下の人
- ・血中アルブミン値が4.0以下の人
低栄養は自覚症状が少なく、自分で気付かないこともあります。健康診断などではBMI値や血中アルブミン値についてもチェックし、栄養状態を確認するようにしましょう。
また、ふくよかな体型の人は一見すると栄養状態がよさそうですがそうとは限りません。脂質や糖質ばかり摂っていてたんぱく質が足りないと、低栄養の状態となります。脂肪だけが多くて筋肉が少なく、骨もスカスカな状態では元気に動くことができないのです。
将来の健康にも影響大!低栄養になるとどうなる?
それでは、実際に低栄養の状態に陥ってしまった場合、私たちの体にはどのような変化が起きるのでしょうか。低栄養の状態を長く放っておくと、病気のリスクが高まるなど将来的な影響も生じます。具体的には、以下のような症状や影響が考えられます。
- ・体重が減少する
- ・骨格筋の筋肉量や筋力の低下
- ・元気がなくなる
- ・風邪など感染症にかかりやすく、傷が治りにくくなる
- ・下半身や腹部がむくみやすい
- ・健康寿命が短くなる
- ・男性は脳卒中、心筋梗塞のリスクが高まる
- ・女性は筋肉量の減少、骨密度の低下によって体を動かす機能に影響をおよぼす
- ・脳卒中や心臓病などの心血管病のリスクは低栄養ではない人の2.5倍にのぼる
- ・血管が弱くなることで脳梗塞や心筋梗塞の引き金にもなる
健康寿命とは、寝たきりではなく自立して健康的な生活を送れている状態のことをいいます。低栄養でやせている人は、そうでない人と比べて死亡率が高く、介護費用は太っている人の2倍以上との研究報告もあります。
夏に不足しがちな栄養素とは?たんぱく質は特に大切!
夏バテで食欲がないと、血中のたんぱく質の一種・アルブミンが少なくなります。アルブミンは栄養状態を示す数値で、この値が低いと低栄養状態に陥ってしまいます。低栄養状態の人は夏バテも起こしやすく、熱中症にもなりやすいので注意が必要です。
若い人の低栄養には、ストレスなどによる拒食症、過度なダイエットによる栄養の偏りが原因の場合もあります。極端なダイエットで鉄分不足になると、貧血やだるさ、疲れ、発育障害をももたらしてしまいます。
このように低栄養は夏バテ、ダイエット、高齢者の食欲減少など、さまざまなタイプの人や原因から起こりうるものです。元気な毎日のためには、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルのバランスを考えた食生活を考えましょう。なかでも気をつけたいのはタンパク質。肉、魚、卵、大豆製品を意識して食べるように心がけてください。
低栄養を防ぐために工夫できること
先にもふれましたが、夏場は特に気をつけないと冷たい麺類などでサッとすませがち。これではほとんどタンパク質を摂ることができませんよね。食事の内容だけでなく、食欲がない時には自分が食べやすい形状にするなど、一度に食べきれない時は回数を増やしたり間食で補ってみてください。
間食にはタンパク質が多く含まれるチーズやヨーグルトなどの乳製品、ビタミンやミネラルが摂れるリンゴやバナナなどの果物もおすすめです。
まとめ
今回は低栄養とは何か、原因や症状、予防法について解説しました。夏を元気に過ごすためにも、これからは「夏バテ」同様、「低栄養」も意識しながら暑さを乗り切ってくださいね。
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