近年、女性の健康課題に対する取り組みとして「フェムテック」が注目されています。企業が女性の健康課題に取り組むことは、生産性向上や、優秀な人材の確保につながるため重要と言えるでしょう。実際に企業はどのようにフェムテックを導入しているのでしょうか。フェムテックの概要とともに、フェムテックを活用した事例をご紹介します。
フェムテックとは?企業が取り組むべき女性の就業支援
- 健康情報
フェムテックは健康経営にも重要
フェムテックとは、「Female」と「Technology」を組み合わせた造語で、テクノロジーの力で女性の健康問題を解決することをいいます。フェムテックの活用は、企業価値の創造に効果的であるため注目が集まっています。たとえば、妊娠、出産、更年期などを理由にした女性の望まない離職を防ぐことにつながるのです。
経済産業省も「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」などの取り組みを行い、女性の就業継続をサポートしています。
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経済産業省「フェムテックを活用した働く女性の就業継続支援」
フェムテックで注目される3つの分野
経済産業省も重視している、フェムテックで注目される3分野について紹介します。
月経分野
まずは、月経分野です。PMS(月経前症候群)も含まれます。月経によって、女性には腹痛や頭痛、イライラやストレスなどの心身の変化が起こることがあります。フェムテックのサービス・製品を活用することで、月経周期や月経に関する症状を正しく把握し、適切な対応ができるようになるのです。
月経のフェムテックサービス・製品といえば、月経管理アプリがあります。さらに、ピルの服用管理などを行うアプリの利用も広がっています。
妊娠・不妊分野
次に、妊娠・不妊分野が挙げられます。産後ケアも含まれます。
現状では、妊娠や不妊治療に伴う体調の変化や、通院の負担によって退職を選ぶ方も多くいます。フェムテックサービス・製品を活用することで、これらの負担の軽減につながることが期待されています。
子宮口キャップ、妊婦体温管理アプリなど、妊活中、妊娠期それぞれの状況に応じたフェムテックサービス・製品があります。
更年期分野
最後に、更年期分野があります。フェムテックサービス・製品を活用することで、更年期に伴う体調不良に関する正しい知識や対策などを身につけることが期待できます。
フェムテックサービス・製品としては、女性ホルモン低下による不調を管理するための記録アプリ、尿漏れ改善などに役立つ骨盤底筋トレーニング用製品などがあります。
女性の健康課題に企業が取り組む必要性
企業は、女性の健康課題に取り組む必要があります。それは、課題を放置することで生産性の低下や優秀な人材の離職につながる可能性があるからです。
たとえば、生理による体調不良を言い出すことができず、体調がより悪化した結果生産性の低下につながるといったケースがあります。また、更年期によって不眠などになり社員の健康が損なわれ、離職につながることもあるでしょう。
企業には、女性の健康課題に理解のある職場づくりや、早期に女性が健康課題に取り組めるような体制作りが求められているのです。
フェムテックを活用した企業の取り組み事例
実際に、フェムテックを活用した取り組みを行っている企業の事例をご紹介します。
花王
花王株式会社では、女性社員がメールで産業医に相談できる窓口を設置しています。相談によって、社内で活用できる制度や、症状の対応方法などの紹介を受けることが可能です。また、女性の健康セミナーを定期的に開催したり、女性の健康に関する情報発信を行ったりすることで、女性社員の健康サポートに取り組んでいます。
丸紅
丸紅株式会社は、男性社員もメンバーに含めたフェムテックプロジェクトチームで女性社員の支援を行っています。たとえば、生理周期を記録するアプリの導入や、フェムテックに関するオンラインセミナーの開催、医師に更年期について相談できるチャットサービスなどを実施しています。
小田急電鉄
小田急電鉄株式会社は、妊娠を希望する女性社員や、妊娠中の女性社員が安心して勤務できるような体制づくりを行っています。たとえば、妊娠や不妊治療に関連したセミナーの開催、相談窓口の設置、オンライン診療サービスなどに力を入れています。
豊田通商
豊田通商株式会社では、製造現場とフェムテックのスタートアップ企業と連携して、生理などによる女性社員の体調の変化や仕事への影響を客観的なデータにする取り組みを行っています。各従業員の不調の原因などを解析して、生産性向上のための個別の改善策などの構築を図っています。
相談しやすい産業保健の体制を
フェムテックに関するアプリや機器の導入、データ検証などの取り組みは大手企業に多いですが、中にはオンライン診断やメールで産業医に簡単に相談できる仕組みを構築しているような例もあります。
何らかのツールを導入する前に、女性社員が自身の健康課題について相談しやすい産業医を選ぶといった体制を作ることも大切でしょう。
まとめ|産業医と連携して女性の健康支援を
ご紹介したように、大手企業を中心にフェムテックに関連してさまざまな取り組みが行われています。国もフェムテックの推進に力を入れており、今後は、より自治体と連携した導入も増えていくでしょう。
フェムテック製品などのツールの活用とともに、産業医との協力体制を強化することで女性の健康を支援することも有効です。
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