パソコン作業などに長時間取り組むことによって起こり得るVDT症候群。首や肩のこりなど複数の症状が起こり得ますが、とくに不調を感じるのは、目の疲れや乾きなどの眼症状のものが多いといわれています。
VDT症候群を予防したり、軽症に抑えたりするためには、作業環境や内容を見直すことが大切です。VDT症候群の特徴から予防方法までをご紹介します。
パソコン作業などに長時間取り組むことによって起こり得るVDT症候群。首や肩のこりなど複数の症状が起こり得ますが、とくに不調を感じるのは、目の疲れや乾きなどの眼症状のものが多いといわれています。
VDT症候群を予防したり、軽症に抑えたりするためには、作業環境や内容を見直すことが大切です。VDT症候群の特徴から予防方法までをご紹介します。
VDT症候群とは、パソコンなどのVDT(Visual Display Terminal)機器で長時間作業を行うことによって起こる心身の異常を総称したものです。主な症状は、首や肩、腰などのこりや痛みなど体全体の症状、目の疲れやドライアイなどの眼症状、うつ状態などの精神的症状が挙げられます。
このうち、とくに多いものが眼症状といわれています。
VDT症候群の主な原因として、パソコン画面などを長時間見続けることによるブルーライトへの暴露や、同じ姿勢でい続けることによる血行不良があります。
パソコンを集中的に見続けると、目の乾きなどの眼症状を引き起こし、結果的に体全体や精神的な症状につながることがわかっています。このようなサイクルで症状が起こるので、眼症状がとくに多いと言えるでしょう。
本記事では眼症状を主に取り扱いますが、VDT症候群は複数の要因が絡み合って起こります。要因の1つが、姿勢の悪さです。たとえば、パソコン作業を行うときに背中が丸まった状態になっている、足を組み続けているなど、姿勢が悪い状態が続くと症状の悪化につながってしまいます。このような姿勢になっていないか、作業中に注意するとよいでしょう。
それでは、実際にパソコン作業の環境が適切か、そして眼や体の症状で不調がないかを以下のチェック項目で確認してみましょう。1つでも当てはまればVDT症候群の可能性があります。また、当てはまるものが多いほど重症である可能性がありますので、自身の作業環境や症状をまずは振り返ってみましょう。
<パソコン作業の環境について>
<症状について>
VDT症候群の治療として、眼科で目薬を処方してもらうなどの方法があります。ただし、根本的に症状を抑えたり、予防したりするためには生活環境の改善が重要になります。
具体的にどのように作業環境の改善などを行い、VDT症候群を防いだら良いかご紹介します。
まずは、次のように作業環境の改善に取り組みましょう。よい姿勢を保つことができるよう、机や椅子の高さを調整することが大切です。足裏全体が床にしっかりとつくよう、机の下のスペースは広いとよいでしょう。
また、外の光が直接目に入らないようにカーテンなどで調整することも有効です。その上で部屋全体に明かりをつけて、室内と手元の明るさに差が出ないようにすることをおすすめします。
作業時の方法を見直し、次のように改善することも大切です。作業中は、猫背にならない、足を組まないなど、姿勢に注意しましょう。座りっぱなしはよくないので、1時間ごとに短い休憩をはさむとよいでしょう。休憩時間には、簡単なストレッチなどを行い、筋肉をほぐすこともおすすめです。
目が悪い方は、適切な度数のメガネやコンタクトを装着しましょう。またメガネや保護シールなどでブルーライトをできるだけカットし、必要に応じて目薬をさすことも眼症状の予防に有効といえます。
VDT症候群の予防や早期発見のためには、定期健診などの受診も大切です。医療機関によっては、VDT検診といって、VDT症候群の可能性を調べる検査も実施されています。このような検査を利用することも検討してみるとよいでしょう。
また、職場でVDTを予防するための体操やストレッチなどを皆で行うような取り組みも有効だと考えられます。
健康経営への取り組みでも、眼精疲労が注目されています。さまざまな病気につながり得る眼精疲労を解消することで、パフォーマンスの向上や、優秀な人材の離職の予防などにつながる効果が期待できます。
職場環境を見直したり、長時間パソコン作業をしないよう労働時間を管理したりするなど、企業としてアイケアに取り組むことも一考と言えるでしょう。
VDT症候群では、さまざまな症状があらわれる可能性がありますが、とくに眼症状には注意が必要です。予防や軽症に抑えたりするためには、作業環境や内容を見直し改善していきましょう。また、健康経営の一環として、企業として社員のアイケアに取り組むことも有効といえます。