「不妊予防支援パッケージ」とは、2021年7月9日に厚生労働省より公表された、ライフステージに応じた女性の健康推進策を指します。まだ新しい政府の推進策のため、初めて耳にした方も多いのではないでしょうか。
本記事では、不妊予防支援を自社でも対応したいとお考えの経営者や人事・労務担当者に向けて、企業が取り組むべき施策を詳しく解説していきます。
不妊予防支援パッケージについていち早く情報を集め、女性が働きやすい職場環境づくりにぜひお役立てください。
「不妊予防支援パッケージ」とは、2021年7月9日に厚生労働省より公表された、ライフステージに応じた女性の健康推進策を指します。まだ新しい政府の推進策のため、初めて耳にした方も多いのではないでしょうか。
本記事では、不妊予防支援を自社でも対応したいとお考えの経営者や人事・労務担当者に向けて、企業が取り組むべき施策を詳しく解説していきます。
不妊予防支援パッケージについていち早く情報を集め、女性が働きやすい職場環境づくりにぜひお役立てください。
不妊予防支援パッケージとは
厚生労働省の「不妊予防支援パッケージ」とはどういったものなのか。まずは、支援の概要をご説明していきます。
具体的な支援については、下記の3つの分野に分かれています。
①保険・医療(1)月経困難症に悩む女性への配慮
厚生労働省が企業に対し、月経困難症に悩む女性への配慮に関する要請を行う施策です。たとえば、婦人科等を受診する際の配慮や、相談しやすい職場環境の整備などを指します。
(2)職場における相談体制の拡充
より専門的な相談体制づくりも支援施策のひとつです。企業に配置される産業医の専門研修を拡充し、月経関連疾患や不妊症など女性の健康課題についての知識を深めていきます。さらに、産業保健総合支援センター・女性健康支援センター・不妊専門相談センターとの連携強化を図り、サポート体制をより強靭にする取り組みもあります。
(3)女性の健康課題に関する情報発信の強化
職場において、働く女性が健康課題について考える機会を増やそうという施策です。たとえば、職場で実施される定期検診での指導や、がん検診・婦人科の定期受診を促すリーフレットの配布、事業者・労働者向けのセミナー開催、健康経営の啓発強化などです。
参照/引用:厚生労働省 不妊予防支援パッケージ
不妊予防支援パッケージが導入された背景と目的
そもそも、なぜ「不妊支援パッケージ」が推進されているのでしょうか。導入された背景と目的について、ご説明していきます。
背景
まず主な背景としては、下記の2点があります。
①政府が不妊治療の保険適用の実現など、支援強化を取り組んでいることとくに②について、具体的に「月経困難症」や「婦人科受診の少なさ」、「トップアスリートのPMSの自覚」などが挙げられています。
【女性特有の健康課題の現状について】
・20 代の 64.2%、30 代の51.8%が月経痛を抱えており、月経痛で受診した女性のうち、子宮内膜症や子宮筋腫等を原因とする器質性月経困難症(月経痛・体調不良等)の割合は、20代で3割、30代で5割、40代で7割となっている。
・働く女性の半数弱は、月経異常を感じても婦人科等を受診しない。
・ほとんどの中高生女子は、月経痛やPMS(月経前症候群)があっても婦人科等に行かない。
・ 7割超のトップアスリートがPMSを自覚している。(※ 女性競技者の三主徴:利用可能エネルギー不足、運動性無月経、骨粗しょう症)
引用:厚生労働省 不妊予防支援パッケージ
これらの健康課題は、女性のライフスタイルや仕事などを阻害し、さらに不妊につながるリスクもあります。ただし、早めの婦人科受診や治療を行うことで、予防・早期発見・重症化を防げることも事実です。
目的
前述したような背景を踏まえて、2021年6月に「女性のライフステージや生活環境に寄り添った支援を行い、気づかれにくい不妊リスクをなくしていくための「不妊予防支援パッケージ」(仮称)を早急に策定する。」と発表されました。(※内閣府 男女共同参画局「女性活躍・男女共同参画の重点方針」より抜粋)
そして現在推進されている「不妊予防支援パッケージ」は保険・医療分野だけでなく、学校・職場といったもっと身近な部分から、支援を広めていこうというもの。そもそも婦人科への受診が少ないという課題があるため、女性が受診・通院しやすい体制を整えることが目的になっています。
また、慢性的に抱えている女性特有の悩みについても、婦人科を受診することで解決する可能性もあります。女性にとって生理は毎月のことなので、生理痛やPMSも「いつものことだ」と思って放置してしまいがちですが、身近なところから促して婦人科受診率を向上させていきましょう。
そして慢性的な女性特有の不調が解決すれば、普段の生活や仕事も快適になるはずです。生涯を通じて安定的に活躍できるようになれば、すべての女性が輝く社会・男女共同参画社会にも貢献できます。
不妊予防支援パッケージについて企業が取るべき行動
ここまでの内容を踏まえ、「不妊予防支援パッケージ」について企業が取り組める対応をご紹介します。
婦人科系に強い産業医選任を検討してみる
一定数の従業員がいる企業には、産業医の選任が義務付けられています。女性が多い企業では、月経関連疾患などの悩みにも対応できるよう、婦人科系の相談がしやすい産業医の選任を検討してみてください。具体的には、悩みを理解しやすい女性の産業医や、婦人科系の産業医が望ましいです。
女性特有の悩みは、気分的にも男性の産業医にはなかなか相談しにくいところがあります。不妊を引き起こす症状の早期発見につなげるためにも、女性が安心して相談できるような産業医の導入を進めてみましょう。
また、現在選任している産業医だけで婦人科関連の内容に対応できない場合、産業医の変更や追加を検討してみるといいでしょう。
健康経営を促進させる
企業で「不妊予防支援パッケージ」を推進すると、企業の健康経営も促進されることが期待できます。産業医の選定やストレスチェック、健康診断の実施など、適切な取り組みを行なうことで職場環境が向上し、従業員の健康状態やモチベーション、生産性も良好になっていくでしょう。
さらには外部からのブランドイメージも向上し、経済産業省が実施している「健康経営優良法人認定」も期待できます。優良法人に認定されると、「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的にも大きく評価されます。
これを機に、「健康経営優良法人認定」も視野に入れて取り組んでみてはいかがでしょうか。
まとめ
本記事では、厚生労働省が推進する「不妊予防支援パッケージ」の概要や、企業で取り組める対応についてご紹介してきました。
企業側は、月経関連疾患だけでなく女性特有の体調変化にも広く関心を持ち、女性が働きやすい環境を整備できるよう知識をより深めてみてはいかがでしょうか。もちろん企業だけでなく、働いている女性従業員も自身の身体・体調について関心を持てるよう、サポート体制があるといいでしょう。
長期間かつ健康で従事していただくためにも、本記事を参考に不妊予防支援の取り組みに着手してみてください。
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