近年、スマートウォッチのように身につけるタイプの小型コンピュータ「ウェアラブルデバイス」が普及するようになりました。
このウェアラブルデバイスは、個人だけでなく、企業の間でも従業員の健康管理に導入される事例が増えています。
この記事では、ウェアラブルデバイスの種類や機能、ウェアラブルデバイスを健康管理に活用するメリット、実際にウェアラブルデバイスを導入している企業の事例について解説します。
近年、スマートウォッチのように身につけるタイプの小型コンピュータ「ウェアラブルデバイス」が普及するようになりました。
このウェアラブルデバイスは、個人だけでなく、企業の間でも従業員の健康管理に導入される事例が増えています。
この記事では、ウェアラブルデバイスの種類や機能、ウェアラブルデバイスを健康管理に活用するメリット、実際にウェアラブルデバイスを導入している企業の事例について解説します。
ウェアラブルデバイスとは、衣服や腕、手首などに装着して利用することを想定したIoT(Internet of Things)機器全般です。
細かく分類するとさまざまな種類や機能があるため、以下で解説します。
デバイスの装着位置は、身体の頭部、腕、手(手首)、指先など多岐に渡ります。
各装着箇所に適した形状をしているのが一般的で、以下のような種類が存在します。
このように形状がバリエーションに富んでいるため、ニーズや機能に合わせた使い分けが可能です。
ウェアラブルデバイスは、形状によっては電話の受発信やアプリ通知の閲覧、音楽の再生、電子マネーでの決済など、スマートフォンのように利用できる機能を持っています。
しかし主に注目すべきは、身体に装着することで生体情報や位置・速度情報を収集できるセンシング機能と言えるでしょう。
生体情報については、具体的に次のような測定項目があります。
測定した情報の記録・分析により、健康管理やダイエット、スポーツなどのさまざまな場面で必要になる身体管理を手軽に行えるようになります。
ウェアラブルデバイスは生体情報センシングが可能なため、収集したデータを健康管理に活用する用途に向いています。
具体的にどのようなメリットがあるのかを、5つのポイントに分けて解説します。
身体の健康状態は、主に脈拍、血圧、呼吸、体温といったバイタルサインによって可視化できます。
ウェアラブルデバイスは、これらのバイタルサインを自動的に計測・管理してくれるため、日々の健康状態を把握するのに役立ちます。
計測されたデータはスマートフォンのアプリへと転送可能なデバイスも多く、管理のしやすさもメリットのひとつです。
GPS機能が内蔵されたデバイスは、歩数・距離・速度などを測定できます。
これらの運動データに加え、年齢、体格や体重、性別などの基礎情報が組み合わさると、日々の消費カロリーがわかります。
これによって摂取カロリーのコントロールができたり、普段意識しないような運動量に意識を向けられたりするのも大きなメリットです。
心拍数が計測できれば運動中の負荷を管理しやすいので、ランニングやサイクリングなどの有酸素運動にも役立ちます。
身体の健康だけでなく、メンタルヘルスにも活用できるのがウェアラブルデバイスの利点です。
メンタルヘルスに悪影響を及ぼすストレスは、周囲が気づきにくかったり、本人ですら気づきにくかったりします。
しかし、ストレスは血圧や心拍数などの生理反応に表れる場合もあるため、デバイスによる数値計測によってある程度のストレスレベルがチェック可能です。
ストレスが数値として可視化されれば、本人もストレス状態を自覚でき、息抜きをするタイミングも掴みやすくなります。
組織で従業員の健康管理を行う場合、ウェアラブルデバイスとクラウドサービスの組み合わせが効果的です。
管理者がクラウドから従業員の計測結果を確認できる状態にしておけば、離れた場所でも包括的な健康管理が可能になります。
また、労働衛生の観点で健康管理と並んで重要となる安全管理についても、ウェアラブルデバイスによるソリューションが存在します。
たとえば、現場作業員のバイタル情報や位置動態情報をデバイスでモニタリングして、熱中症の予兆や転倒・転落等の事故発生を検知するシステムが挙げられます。
ウェアラブルデバイスによる健康管理は、デバイスを装着して普段通りの生活を送るだけで成立します。
そのため、健康意識が高い人だけでなく、低い人にとっても導入のハードルが高くなく、気軽に取り入れられるのもメリットです。
一度ウェアラブルデバイスを導入すれば、自身の健康情報について意識するきっかけになります。
特に特定保健指導の対象者などの健康習慣の定着にも役立つでしょう。
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近年注目される健康経営を目指し、会社として従業員の健康サポートに取り組む事例は増えています。
その中でも、ウェアラブルデバイスを従業員に配布して、福利厚生の向上に取り込んだ企業事例について2つご紹介します。
企業Aでは、ウェアラブルデバイスの導入によってストレスや睡眠に関するスコアを可視化する独自の取り組みを行いました。
この取り組みでは、脈拍データを用いて副交感神経の優位度を算出し、ストレスレベルとして本人にわかりやすくフィードバックしています。
デバイスの配布は本人の同意を得た従業員のみを対象としており、ランキング形式でストレスレベルの比較を行った結果、行動変容が起こった従業員もいたそうです。
取り組みを行ったチーム内では、睡眠や運動などに関して意見を交わすなど、コミュニケーションにおける健康に関しての話題も増えたといいます。
客観的に数値を見える化したことで、健康意識の高まりが確認できた事例と言えるでしょう。
企業Bでは、手をあげた従業員が自発的に企画書を作った上で、ウェアラブルデバイスが試験的に導入されました。
導入されたのは歩行数・心拍数・睡眠の質などを計測できるデバイスで、チーム対抗戦で週ごとの歩行数を競い合ったり、歩行数ランキングを公表したりして、皆で楽しみながら健康を意識できる工夫がされたそうです。
一定期間運用した後でアンケートをとった結果、「ジムに通うようになった」「意識的に歩く量を増やした」「心拍数を気にするようになった」などの声があがり、本格導入される運びとなりました。
このように、トライアルによって従業員の健康への関心を引き上げ、フィードバックをもとに導入を判断するケースもあります。
ウェアラブルデバイスには様々な種類があり、目的に応じて使い分けることで企業における従業員の健康管理にも活用できます。
企業の人事・総務労務担当者は、従業員の福利厚生を向上させる選択肢として、ウェアラブルデバイスの活用を視野に入れると良いでしょう。
従業員の健康状態の把握には、ウェアラブルデバイスに加えて産業医の導入も有効です。
ウェアラブルデバイスの導入が産業医からのアドバイスで始まる場合もあるため、下記関連記事を参考にしていただき、産業医の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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