河野デジタル大臣は、2022年10月13日、現在使われている「紙の健康保険証」を2024年秋に原則廃止して、マイナンバーカード(「マイナ保険証」)に一本化する方針を明らかにしました。
現状ではマイナンバーカードの普及率も低く、ほかにも課題は山積していますが、PHR(パーソナルヘルスレコード)活用が普及するための大きな転換点になるでしょう。
当記事では、マイナ保険証への移行の流れや、移行によるメリット・デメリット、PHR活用との関連について解説します。
河野デジタル大臣は、2022年10月13日、現在使われている「紙の健康保険証」を2024年秋に原則廃止して、マイナンバーカード(「マイナ保険証」)に一本化する方針を明らかにしました。
現状ではマイナンバーカードの普及率も低く、ほかにも課題は山積していますが、PHR(パーソナルヘルスレコード)活用が普及するための大きな転換点になるでしょう。
当記事では、マイナ保険証への移行の流れや、移行によるメリット・デメリット、PHR活用との関連について解説します。
マイナンバー健康保険証(マイナ保険証)とは、マイナンバーカードを健康保険証として利用する仕組みです。
医療機関や薬局などの窓口で、医療行為を受ける方自身がマイナンバーカードを顔認証付きのカードリーダーにかざすことで、本人確認と資格確認を同時に行えます。
認証の際はICチップの中の電子証明書を使用するため、マイナンバー自体は使用されず、受診情報や薬剤情報などのプライバシー性の高い情報が記録されないのが特徴です。
2021年10月20日から、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる制度は始まっており、2024年秋には完全に移行する方向で進んでいる状況です。
完全移行に至るまでには、Android向けスマートフォンへのマイナンバーカード機能搭載や医療機関側の対応についての経過措置など、いくつかのチェックポイントも設けられています。
また、完全移行に伴って現行の健康保険証の扱いがどうなるかを知っておく必要もあるでしょう。
そこで、完全移行までの関連スケジュールについて時系列順に解説していきます。
前述の通り、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる制度自体は2021年から既に始まっています。
ただし、マイナンバーカード自体の普及率が低かったり、医療機関側がマイナ保険証に対応していなかったりと、実態としては十分な基盤が整っていない状態が現在の課題です。
課題となるマイナンバーカードの普及率を改善するため、施策の一環としてスマートフォンへのマイナンバーカード機能の搭載が計画されています。
実現されればカード本体がなくてもその機能の一部をスマートフォンで実行できるようになり、マイナ保険証としての利用やオンラインでの行政手続きなどが可能になります。
ただし、マイナンバーカードの申請は従来通り必要です。
AndroidOSを搭載するスマートフォンについては2023年5月11日にスタートする予定で、iPhoneについては未定とのことです。
マイナンバーカードを健康保険証として利用できる設備を医療機関が導入することについては、2023年4月から原則義務化となっています。
ただし、医療機関側のシステム整備が2023年3月末までに間に合わないケースが約5万件にのぼると判明しました。
これらのやむを得ない事情がある医療機関などを対象に、2023年9月末までの期限付き経過措置が設けられています。
2024年秋にマイナンバー健康保険証への完全移行が予定されており、これに伴って紙やプラスチックカードの健康保険証を廃止する方針が発表されています。
現時点では、完全移行後は健康保険証の発行・再発行はマイナ保険証だけとして、既存の健康保険証の新規発行は停止となる見込みです。
一方で、マイナンバーカードの所持が義務化されるわけではないため、完全移行後にマイナンバーカードを持たない人やマイナ保険証を利用できない医療機関が出てくるケースが考えられます。
これらのケースでも継続して医療を受けられるための代替策については検討中とのことです。
マイナ保険証の普及によって得られるメリットについては、厚生労働省が次の観点で公表しています。
総括すると、健康保険証が顔写真付きの身分証明書として使用できるようになり、医療機関が必要とする健康情報がデータ化されるため、利用と管理の両側面で利便性が向上します。
マイナポータルとの連携によって利用者自身も情報を見やすくなるため、確定申告にかかる医療費控除申請の手続きなども簡易化されるでしょう。
マイナ保険証の普及によって、従業員の健康保険資格取得に関する手続きを実施している人事・労務担当者にとってもメリットがあります。
従業員の入社時は、健康保険資格取得手続きが完了した後、保険証の手渡しや郵送などのタイムラグが発生することなく、従業員はすぐにマイナ保険証を利用できます。
担当者は手続きの完了を通知するだけで済むため、労務工数の削減につながるでしょう。
また、従業員の退社時は健康保険証の回収・紛失などへの対応が不要になるため、この点でも業務効率化が可能です。
健康保険証をマイナ保険証に切り替える際にはいくつかのデメリットや懸念点もあります。
ここでは4つのポイントに分けて解説します。
厚生労働省の2022年10月時点の統計によれば、窓口でマイナ保険証に対応できる医療機関や薬局は約3割です。
また、そのなかでも顔認証付きカードリーダーを申し込んだ医療機関や薬局は6割弱となっています。
現状ではマイナ保険証に切り替えても、利用できる機会を得られにくいのがデメリットと言えるでしょう。
マイナ保険証の導入義務化に関する2023年9月までの経過措置が終了するまでは、従来の健康保険証とあわせて所持する必要があります。
医療機関・薬局は、健康保険証の確認が法令で義務付けられており、1か月ごとを区切りに「初回の受診日」に提示する必要があります。
これに対し、マイナ保険証は特定健診等情報や診療・薬剤情報、薬剤情報の閲覧のため、受診の度に同意をする必要があり、通院時に毎回提示しなければなりません。
現在、マイナンバーカードの再発行には1〜2か月が必要です。
そのため、マイナンバーカードを紛失するとその期間中はマイナ保険証を利用できなくなります。
しかし政府は今後、再発行までに要する期間を10日程度に短縮できるよう、総務省のシステムを改修する方針を発表しているため、続報を待ちましょう。
マイナ保険証がなくても保険診療が受けられる代替策についても検討中とのことです。
マイナ保険証への完全移行に向け、企業は労務管理の業務フローを見直す必要があります。
従業員によって所持しているのがマイナ保険証と従来の健康保険証でバラバラだと業務が複雑化するため、全従業員のマイナンバーカード取得が望まれます。
現状では取得が法的に義務化されていないため、人事・労務担当者による定期的な情報発信や期限付きでの取得呼びかけが必要となるでしょう。
▼参考記事はコチラ
よくある質問:健康保険証との一体化に関する質問について|デジタル庁
オンライン資格確認等システムについて|厚生労働省
マイナ保険証は、ここまで解説した利便性や導入への課題などの観点だけで評価すべきではありません。
注目すべきは、マイナポータルとの連携によるPHR活用です。
企業の健康経営にも関わってくる重要な観点となるため、マイナポータルとPHRについて解説していきます。
PHRとは(Personal Health Record)、個人の健康に関する情報をデジタルデータとして記録・一元化し、クラウドなどを通じて管理する技術です。
そしてデータが集約される場所の代表例が、マイナ保険証との連携が可能なマイナポータルです。
マイナポータルでは特定健診結果や、処方箋の情報、予防接種履歴などが閲覧可能で、さらに歩数や体重、血圧、食事、睡眠などのライフログ管理ができる民間のPHRサービスと連携する仕組み(マイナポータルAPI)もあります。
このように官民の連携により、PHRは生涯にわたる健康増進や疾病予防、生活習慣の改善を実現するために活用が進められています。
マイナ保険証の導入は、企業からすると労務管理手続きの見直しや、従業員への取得呼びかけといった負担になるかもしれません。
しかし、PHRの活用によって医療サービスの質や個人のヘルスリテラシーの向上が期待されており、組織全体の健康リスクが下がる可能性があります。
マイナ保険証の活用は従業員各自の判断に任せるだけでなく、マイナポータルと連携可能な民間アプリの利用を推進するなど、企業側からの働きかけがあると効果的です。
取り組みがうまくいけば従業員の医療費削減や生産性向上も見込めるため、健康経営という視点でみてもマイナ保険証とPHRの導入・利活用推進は重要だと言えます。
▼関連記事はコチラ
PHR(パーソナルヘルスレコード)とは? 企業等での利活用とメリットや課題を解説
【特定保健指導が変わります】第4期の変更点やアウトカム評価について解説!
マイナンバーカード健康保険証は、現状のスケジュールでは2024年に完全移行し、事実上の義務化と言われています。
保険証としての利用や情報管理の利便性が向上する一方、利用するための基盤が未整備であったり、導入への課題は山積している状況です。
しかし、PHR活用の観点でマイナ保険証は今後重要な役割を果たすことは間違いなく、企業の目線では健康経営がより推進しやすくなるかもしれません。
企業の人事・総務労務担当者は、健康保険証がマイナンバーカードになるのを機に電子化によるPHR活用について詳しく知っておくべきでしょう。
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