23年4月からマイナ保険証を使わないと医療費が高くなる
23年4月より、「マイナ保険証」を使わないと医療費が高くなるよう設定されています。これまでも、何らかの病気で病院やクリニックを初めて受診した場合、従来の健康保険証ではマイナ保険証と比べて医療費加算額が、20円(3割負担だと6円)高くなる形に設定されていました。4月以降は、特例措置として40円(3割負担だと12円)高くなるようになったのです。
しかし、すべての医療機関で医療費に差が出るわけではありません。オンライン資格を確認するシステムの導入など、一定の要件を満たした医療機関を受診した場合に限られます。また、23年12月までの期間限定の対策となっており、マイナ保険証に対応するシステムが全国の医療機関へ広がるまでの期間となっています。
<マイナ保険証と従来の健康保険証の医療費加算額の比較>
|
〜23年3月 |
23年4〜12月 |
初診時 |
マイナ保険証 |
20円(6円) |
20円(6円) |
健康保険証 |
40円(12円) |
60円(18円) |
再診時 |
マイナ保険証 |
0円 |
0円 |
健康保険証 |
0円 |
20円(6円) |
※()内は自己負担3割の場合の金額
マイナ保険証移行に関連する医療費変更の背景
なぜこのように、従来の健康保険証では医療費が上がるよう対策されたのでしょうか。マイナ保険証は、21年10月から運用がスタートしました。マイナ保険証をより広めるために、マイナ保険証に対応するシステムを取り入れた病院やクリニックでは、マイナ保険証関連の加算がつけられることになったのです。
しかし、この時は、従来の健康保険証を使用した場合と比べて、マイナ保険証を利用した場合の方が、より医療費が高く設定されていました。マイナ保険証を使用した方が、患者は損をしてしまうという現象が起こっていたのです。損をする制度を使いたがる人はおらず、普及を妨げる要因になるという意見も上がりました。
そこで見直しが行われ、22年10月にマイナ保険証を利用した方が医療費が安く抑えられるように設定が変更されたのです。
23年4月以降の変更は、このような意見をさらに反映したものとなっています。よりマイナ保険証を普及させるための対応といえるでしょう。
マイナ保険証完全移行のスケジュール
今回の措置は23年12月までの期間限定であるとお伝えしましたが、いずれはマイナ保険証へ完全に移行する予定になっています。今後、どのようなスケジュールでマイナ保険証へ切り替わるのでしょうか。
23年4月より医療機関がマイナ保険証を導入することは、原則義務化されています。しかし、対応できるシステムを導入できていない医療機関も少なくありません。そこで、23年9月末までは経過措置として医療機関にも猶予が与えられているのです。
そして、24年秋にはマイナ保険証への完全移行が予定されています。現状では、完全移行した場合、従来の健康保険証の新規発行はできなくなり、健康保険証の発行や再発行はマイナ保険証に限られる予定です。
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マイナ保険証の移行に関するよくある質問
マイナ保険証への移行が進められるなか、皆さんが抱く不安や疑問について解説していきます。
マイナ保険証を作りたくない場合は、資格確認証を発行する
マイナ保険証への移行が予定されているものの、現状ではマイナンバーカードの取得は、個人の自由とされています。マイナンバーカードを取得していないという方や、そもそも作りたくないという方もいるかもしれません。
そのような場合は、従来の健康保険証に代替する「資格確認書」を発行する必要があります。有効期限は1年間で、更新することで健康保険を利用することが可能です。
ただし、資格確認書は自動的に発行されるようなものではなく、自身で手続きをする必要があります。手続きの手間がかかることも考え、やむを得ない場合以外は、これを機にマイナ保険証に移行することをおすすめします。
マイナンバーカードを健康保険証として利用するには申請が必要
マイナ保険証は、手元にマイナンバーカードがあれば、そのまま医療機関で使えるわけではありません。保険証として使用するためには、事前に利用申請が必要なのです。
事前の利用申請には、マイナンバーカードに加えて、4桁の利用者証明用暗証番号、カードリーダー機能を備えたパソコンやスマートフォンが必要です。23年9月末まで、マイナポイントの申し込みも延長しているので早めに手続きするようにしましょう。
まとめ|今回の機会に「マイナ保険証」へ移行しよう
お伝えしたように、23年4月よりマイナ保険証よりも従来の健康保険証を利用した際の医療費が高く設定されるようになりました。23年12月までの期間限定の措置となっていますが、医療費を安く抑えるためにもマイナ保険証への移行を検討してみませんか。
24年の秋には、マイナ保険証への完全移行が予定されています。マイナ保険証はマイナンバーカードさえあれば利用できるというものではありません。事前の利用申請が必要になります。早めに手続きを行い、スムーズに移行できるよう準備を行いましょう。