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嘱託産業医とは?職務内容と選任時のポイント、専属との違いを解説!

  • 産業保健
更新日: 2024.12.25
嘱託産業医とは?職務内容と選任時のポイント、専属との違いを解説!
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この記事を書いた人:佐藤将人

【監修】佐藤将人 ワーカーズドクターズ提携産業医、合同会社SUGAR代表医師、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント(保健衛生)、臨床心理士、中小企業診断士、両立支援コーディネーター、健康経営アドバイザー、日本肝臓学会専門医、日本外科学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター

【監修】佐藤将人 ワーカーズドクターズ提携産業医、合同会社SUGAR代表医師、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント(保健衛生)、臨床心理士、中小企業診断士、両立支援コーディネーター、健康経営アドバイザー、日本肝臓学会専門医、日本外科学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター

従業員50人以上の企業には産業医の選任が義務づけられています。

産業医には嘱託産業医と専属産業医の2種類があり、従業員数1,000人未満の企業の多くが選任するのは嘱託産業医です。

本記事では、嘱託産業医について解説します。専属産業医との違いや産業医の職務内容、探し方、選任時のポイントなども紹介するので、産業医の交代や新規募集を検討している企業担当者は参考にしてください。

嘱託産業医とは

従業員の心身の健康と職場環境の安全を守る産業医には、嘱託産業医と専属産業医の2種類があり、企業規模などに応じてそれぞれの選任基準が設けられています。

最初に、嘱託産業医と専属産業医の選任基準と両者の違いについて確認しておきましょう。

嘱託産業医の選任基準

嘱託産業医と専属産業医の選任基準は、労働安全衛生法などによって次のとおり定められています。

(産業医の選任基準)

常用労働者数

産業医の選任基準

50人未満

選任義務なし

50人以上999人以下

1人以上

1,000人以上3,000人以下

1人以上(1人以上専属産業医)

3,001人以上

2人以上(2人以上専属産業医)

常用労働者数が1,000人以上の場合は専属産業医の選任が必要で、1,000人未満ならば嘱託産業医でも専属産業医でもいいということです。

ただし、常用労働者数が1,000人未満でも特定の「有害業務」に常時500人以上の労働者を従事させる場合、専属産業医の選任が必要となるので注意しましょう。

有害業務とは、危険性の高い化学物質や放射線を取り扱う業務、危険な作業をともなう業務のことです。

嘱託産業医と専属産業医の違い

特定の企業に専属する産業医を専属産業医、それ以外を嘱託産業医と呼びます。専属とは、1つの会社や団体にのみ所属しているという意味です。勤務形態を見ると、専属産業医は常勤(週3日以上)で、嘱託産業医は非常勤(週2日以下)です。

従業員が多いほど産業医の仕事は増えるため、大企業には専属産業医の選任が義務づけられています。専属産業医は、原則ほかの企業の嘱託産業医を兼務できません。

一方、嘱託産業医は非常勤であるため、医師として仕事をしたり複数の企業の嘱託医を兼務したりしているのが一般的です。

ただし、勤務形態は異なりますが、業務内容は基本的に専属産業医と同じと考えていいでしょう。

嘱託産業医の主な業務内容

嘱託産業医2

次に、嘱託産業医は具体的にどのような仕事をするのか見ていきましょう。嘱託産業医の主な業務内容は次のとおりです。それぞれの業務について解説します。

  • ・労働衛生管理体制の構築
  • ・健康管理
  • ・作業や作業環境の管理
  • ・労働衛生教育

業務内容①:労働衛生管理体制の構築

業務内容の1つ目は、労働衛生(職場や従業員の衛生)について全社的・総合的な管理体制を構築することです。

管理体制の構築は企業の責任ですが、専門家の立場から経営者や関連部署に適切な助言や指導を行い協力します。具体的な業務内容は次のとおりです。

  • ・労働衛生に関する基本方針の策定に関する助言
  • ・指導
  • ・年間安全衛生管理計画書の作成に関する助言・指導
  • ・労働衛生目標の達成状況の評価や未達成の場合の原因調査
  • ・衛生委員会への参加 など

業務内容②:健康管理

業務内容の2つ目は、従業員の心身の健康状態を把握し、問題のある場合に適切な対応を図ることです。

また、従業員の健康被害を予防することも重要な業務です。健康診断機関や関連部署と協力して次の業務を行います。

  • ・健康診断や健康面談の実施とフォロー
  • ・生活習慣病の予防、療養指導
  • ・長時間労働者への面談指導
  • ・ストレスチェックやメンタル不調者への面接相談

業務内容③:作業や作業環境の管理

業務内容の3つ目は、従業員の健康を害する危険性のある作業や作業環境を発見し、改善を図ることです。

そのために、専業産業医だけでなく嘱託産業医にも、月1回以上(※)の職場巡視が義務づけられています。職場巡視などによって、次の業務を行います。

  • ・有害な作業方法の改善に関する助言・指導
  • ・作業負荷や作業時間など労働条件の改善に関する助言・指導
  • ・有害物質の適切な管理など作業環境の改善に関する助言・指導

※2017年6月法改正により、例外規定(2カ月に1回以上の巡視)が設けられました。例外となるのは、産業医に衛生管理者が行う巡視結果などの情報が提供され、事業者が産業医の巡視頻度に同意した場合です。

業務内容④:労働衛生教育

業務内容の4つ目は、経営者や現場の管理者、従業員などに労働衛生に関する教育を行うことです。次の業務を通して、労働衛生に対する知識と関心を高め労働者の健康と職場環境の安全を守ります。

  • ・労働衛生教育(労災防止や安全配慮義務など)に関する助言・指導
  • ・健康教育(生活習慣病予防やメンタルヘルス対策、過重労働による健康被害)に関する助言・指導

嘱託産業医の探し方

嘱託産業医3

嘱託産業医を探す方法は主に次の2つです。それぞれの方法について解説します。

  • ・医師会などに紹介依頼する
  • ・人材紹介会社を利用する

探し方①:医師会などに紹介依頼する

探し方の1つ目は、近隣の医師会や病院、健康診断機関などに紹介を依頼する方法です。産業医には医師資格が必要となるため、医師に関する情報を持つ医師会などに相談してみましょう。

都道府県医師会や郡市区医師会の中には、産業医の養成や企業への紹介に積極的に取り組んでいるところもあります。

また、健康診断機関は、自社内に産業医がいたり検診業務で産業医と連携したりすることも多く、有効な情報が得られる可能性もあります。

探し方②:人材紹介会社を利用する

探し方の2つ目は、医師などを専門とする人材紹介会社を利用することです。人材紹介会社は産業医としての勤務を希望する医師情報をストックしているため、企業は希望に沿った人材を迅速に見つけやすくなります。ただし、人材紹介会社への紹介料が必要です。

人材紹介会社は、複数の中からサービス内容や料金などを比較して選択することになりますが、実績ある人材紹介会社が安心です。

ワーカーズドクターズでは、嘱託産業医の紹介サービスも行っております。医師求人サイトを運営する弊社のネットワークを生かし、全国規模で産業医の紹介が可能です。また、貴社のニーズに合った産業医のご紹介も可能です。ぜひご相談ください。

企業様と産業医との業務調整、年間スケジュールの作成、必要なフォーマットの提供、衛生委員会でご使用いただく講話資料の毎月の配信なども行っています。

嘱託産業医サービス | 産業医の紹介ならワーカーズドクターズ

嘱託産業医選任のポイント

嘱託産業医4

嘱託産業医を選任するときの主なポイントは次の5つです。それぞれのポイントについて解説します。

  • ・契約方法は業務委託
  • ・報酬の目安
  • ・資格の確認
  • ・契約内容のすり合わせ
  • ・法令対応

ポイント①:契約方法は業務委託

産業医との契約は、企業が直接雇用する方法と産業医に特定の業務を委託する方法の2つがあります。常勤の専属産業医は直接雇用することもありますが、月に数回来てもらう嘱託産業医は業務委託が一般的です。

次の内容を定めて、嘱託産業医と業務委託契約を締結します。

  • ・委託する業務の内容
  • ・業務委託料(報酬)
  • ・契約期間
  • ・勤務日数や勤務時間 など

ポイント②:報酬の目安

嘱託産業医の報酬は、産業医と直接交渉したり、人材紹介会社が設定した料金(産業医への報酬+紹介料)に沿ったりして決めます。公益社団法人日本橋医師会のヒアリング調査によると、嘱託産業医の報酬の目安は次のとおりです。

(報酬の目安)

従業員数

基本報酬(月額)

50人未満

7万5,000円~

50人199人以下

10万円~

200人以上399人以下

15万円~

400人以上599人以下

20万円~

600人以上999人以下

25万円~

▼出典

公益社団法人日本橋医師会「産業医報酬基準額について」

▼関連記事はコチラ

産業医の年収や報酬の相場はどれくらい?嘱託産業医・専属産業医別に解説

ポイント③:資格の確認

産業医は医師資格があれば誰でもできるものではありません。産業医としての資格があるか事前に確認が必要です。産業医ができるのは、医師資格があり次の要件のいずれかを満たす人です。

  • ・厚生労働大臣の指定する日本医師会や産業医科大学が行う研修を修了
  • ・産業医の養成課程を設置している産業医科大学などで、所定の課程を修めて卒業しその大学が行う実習を履修
  • ・労働衛生コンサルタント試験(試験区分が保健衛生)に合格
  • ・大学で労働衛生に関する科目を担当する教授や准教授、常勤講師など

ポイント④:契約内容のすり合わせ

嘱託産業医と契約するときは、次の手順で契約内容の詳細を決定し、その内容を業務委託契約書に記載しましょう。

  • ・労働衛生に関する業務について産業医に委託する範囲を整理する
  • ・嘱託産業医に委託する業務内容を伝えて交渉を行う
  • ・業務内容や報酬、契約期間、勤務日数・時間などを決定する
  • ・業務委託契約を締結する

ポイント⑤:法令対応

嘱託産業医(専属産業医も同様)の選任が必要となった場合、14日以内に選任を完了し、遅滞なく所轄労働基準監督署長に報告しなければなりません。報告書は、厚生労働省のホームページに掲載されています。

▼参考

厚生労働省「総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告」

産業医の選任が必要な常用労働者数にもかかわらず選任しなかった場合、50万円以下の罰金が科せられます。また、原則、ほかの企業の専属産業医を自社の嘱託産業医にすることはできません。

労働安全衛生法などに定める産業医に関する法律を理解して、法律に従って対応しましょう。

まとめ:職務と選任時のポイントを理解して自社に合った産業医を選任しよう

嘱託産業医とは非常勤の産業医で、原則常用労働者数が50人以上1,000人未満の企業に選任が義務づけられています。嘱託産業医は、従業員の心身の健康と職場環境の安全を守るために、労働衛生管理体制の構築や従業員の健康管理など労働衛生に関する業務を行います。

嘱託産業医の選任が必要になった場合、医師会などへの紹介依頼や人材紹介会社の利用を検討してみましょう。従業員の安全と健康を取り扱う重要な業務を担当してもらうことになるため、本記事で嘱託産業医の業務内容と選任時のポイントを確認して、自社に合った産業医を選任しましょう。

ワーカーズドクターズでは、メンタルヘルスに関する対応経験が豊富な産業医や、女性産業医が多数登録しています。企業様に合わせた提案を重視しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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公開日: 2024.12.25
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