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テレワークの導入による課題とその解決策は?新しい働き方の実現のための環境整備

  • 産業保健
更新日: 2024.12.05
テレワークの導入による課題とその解決策は?新しい働き方の実現のための環境整備
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この記事を書いた人:ワーカーズドクターズ編集部

産業保健に関する情報を幅広く発信。産業医業界で10年以上、約1,250ヶ所の事業場の産業保健業務サポートをしているワーカーズドクターズだからこその基礎知識や最新の業界動向など、企業様の産業保健活動に役立つ情報をお届けします。

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テレワークは新型コロナウイルス感染拡大による自粛期間をきっかけに広く認知された新しい働き方です。

テレワークで成果を出している企業はある一方で、導入にあたって課題を抱えている企業は多いことでしょう。

当記事では、ポストコロナを迎えた現在のテレワーク導入状況や注目される背景をおさらいし、テレワーク導入に向けた課題と解決策、企業事例について解説します。従業員の健康を守るためにぜひ参考にしてみてください。

テレワークの導入状況、注目される背景

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テレワーク(≒リモートワーク)は、2020年に新型コロナウイルス感染症(以下、「コロナ」)のパンデミックが発生して以降、感染症拡大防止のため急速に普及しました。

2023年5月からは、コロナが季節性インフルエンザと同じ5類感染症にグレードが引き下げられ、現在はポストコロナ(ウィズコロナ)時代と呼ばれるようになっています。

では、現状のテレワーク導入状況はどうなっているでしょうか。

まずは、ポストコロナ時代でもテレワークを導入する企業が多い背景とあわせてご紹介します。

テレワークが注目される背景

テレワークが注目される社会背景は、コロナの感染拡大だけではありません。

テレワークは居住地や作業場所の制約がオフィスワークと比較して緩いため、フリーランスや副業といった働き方と相性が良いとされます。

こうした新しい働き方が定着すると、都内に居住する必要性がなくなり、分散型居住社会が地方創成を促進するという期待もあります。

コロナの感染拡大はテレワーク普及のきっかけに過ぎず、元々柔軟な働き方を実現し、多様な人材を確保するためにテレワークは注目されているのです。

▼参考資料はコチラ
首相官邸成長戦略ポータルサイト「新しい働き方の定着」

テレワークの導入状況

国土交通省は、全国の就業者40,000人を対象として、テレワークの導入状況について2022年に調査した結果を公表しています。

テレワークを実施している就業者の割合は、コロナの感染拡大が始まる前の2019年には14.8%だったのに対し、2021年には27%まで増加し、その後は若干減少傾向にあるものの未だに24.8%がテレワークを行っています。

企業規模や地域別にした場合の結果も出ており、従業員が多い企業や都心部、通勤距離が長い人のテレワーク実施率が高くなっています

▼参考資料はコチラ
国土交通省「令和5年度テレワーク人口実態調査」

テレワーク導入における課題は大きく3つ

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テレワークを導入する際には、いくつか考慮すべき課題があります。

導入に際する課題は大きく3つに分けられるため、一つずつ解説していきます。

労務管理面での課題

まず労務管理面での課題は、主に次の5つが考えられます。

・勤怠管理の状況が把握しにくい
・テレワーク時の費用・手当負担が明確ではない
・就業規則の作成・変更の方法が分からない
・人事評価が難しい
・コミュニケーションが不足する

会社の就業規則から現場の働き方まで、テレワークに切り替えると変化する事項が多く存在します。

これらに対応する準備が整っていなければ、スムーズな導入と運用は難しいでしょう。

情報通信環境面での課題

続いて「遠隔地から社内ネットワークへの接続」や「通信上のセキュリティ確保」といった情報通信環境面での課題もあります。

業務に支障が出ない通信速度を確保したり、情報漏洩やウイルス感染を防止するセキュリティ対策を講じたりと、多くの観点から環境を整備しなければなりません。

また、稟議書を回すような業務がある場合、書類や印鑑の電子化、ワークフローのシステム化などによるペーパーレスへ向けた取り組みも欠かせないでしょう。

従業員の健康面での課題

テレワークでは従業員の作業環境や健康管理が難しいため、健康面での課題も無視できません。

在宅が続いて運動不足に陥るケースや、出退勤や休憩時間が曖昧になるため生活リズムが乱れるケースなど、テレワークを原因とした従業員の不調もリスクとして存在します。

こうした健康被害を未然に防ぐ一次対策と、不調者が出た際に迅速に気づくための二次対策の両方が必要になるでしょう。

テレワークによる従業員のメンタルヘルスの不調に気を付ける

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従業員の健康面で配慮すべきなのは身体のことだけではありません。​​テレワークによる従業員のメンタルヘルス不調への対策も考える必要があります

三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)の調査によると、テレワーク導入時点の業務の経験が浅かったり、業務範囲が明確でなかったりするケースで、メンタルヘルス不調のリスクが高くなるという結果が出ています。

オフィスから隔離されている状況で、流動的な業務や不慣れな業務に取り組むことをストレスに感じる方が多いのかもしれません。上司や同僚とのコミュニケーションが減ることで気軽に質問しづらかったり息抜きができなかったりして、ストレスを感じる方も多いでしょう。

また同調査では、メンタルヘルス不調の高リスク者は労働時間がテレワーク導入後に増加した層が多いこともわかっています。

公私の時間の曖昧さや、ストレスによる生産性低下が時間外労働を増長させ、それがまたストレスを生む悪循環に陥ってしまいかねません。

労務管理や業務改善の取り組みも重要になりますが、まずは相談ができる体制を作っておきましょう。

産業医との連携が最もわかりやすい例です。

産業医面談では生活・運動習慣に関するアドバイスを受けたり、職場やプライベートの人間関係の悩みを打ち明けたりできるため、従業員のメンタルヘルス不調への対策になります。

▼参考資料はコチラ
三菱UFJリサーチ&コンサルティング「在宅勤務者のメンタルヘルスの現況 在宅勤務は何をもたらすのか」

テレワーク導入の課題に対する解決策

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前述したテレワーク導入の課題やメンタルヘルス不調への対策を踏まえ、課題に対する解決策を知っておきましょう。

課題は「労務管理」「情報通信環境」「従業員の健康」の3つの側面にあると解説しました。

各側面で違った角度からのアプローチが必要になってくるため、課題ごとに有効な解決策を次にまとめます。

【労務管理】
・Web勤怠管理システムの導入
・Web会議システムなどのコミュニケーションツールの導入
・テレワーク時の労働時間のルールや管理方法の決定
・人事評価の方法の明確化
・労災認定のガイドライン整備

【情報通信環境】
・通信の安定性を重視したネットワーク回線の利用
・ルーターやスイッチ、ハブなどのネットワーク機器増強
・セキュリティ対策ソフトやクラウドサービスの導入
・書類、印鑑の電子化によるペーパーレス化
・従業員同士がコミュニケーションをとれるチャットツールの導入

【従業員の健康】
・『テレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのチェックリスト』の確認
・テレワーク特有の健康情報を積極的に発信
・産業医や保健師との面談窓口の設置および周知
・従業員が自己管理できるヘルスケアアプリの導入

『テレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのチェックリスト』については、以下参考リンクをご確認ください。

▼参考資料はコチラ
厚生労働省「テレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのチェックリスト(事業者用)」

テレワーク導入企業例

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テレワークの導入を検討する際には、すでに導入実績のある企業例を参考にするのも有効です。

当記事では、新型コロナ感染拡大より前の段階からテレワーク導入に成功している2社、アフラック生命保険株式会社(以下、「アフラック」)と株式会社NTTドコモ(以下、「ドコモ」)の先進事例をピックアップしてご紹介します。

アフラックの導入事例

アフラックはダイバーシティや生産性向上に向けた取り組みの一環として、2015年からテレワーク促進を行っています。

テレワーク導入にあたって、まず「在宅勤務業務ガイドブック」の整備・公開があり、その後各部門ではチームメンバー個々人がワーク・ライフバランスを意識できるよう働き方モデルの見直しが行われたそうです。

労務管理の面では、PCログイン・ログオフ時刻が勤怠管理システムに記録される仕組みを構築し、中抜けの時間などの考え方含む「労働時間の適切な管理に関するガイドライン」を公開・周知しています。

環境面は、テレワーク用PC端末やモバイル端末の付与、全国9箇所のサテライトオフィス設置などによって、場所を選ばずに働けるよう整備されました。

メンタルヘルス対策含む健康確保の対策としては、自社独自基準によるストレスや心身の不調に関するアンケート​​を定期的に行い、ハイリスクに該当する社員には産業医面談を実施しています。

▼参考資料はコチラ
アフラック生命保険株式会社のテレワーク実施概要

ドコモの導入事例

情報通信業の大手であるドコモは、2000年からグループ内の社内イントラや社内システムが整備されており、モバイル端末で基幹業務を行う文化が早期から根付いていました。

全社員がテレワーク可能な状態が整備されたのは2015年頃で、社内アクセスでのセキュリティ確保や積極的に在宅勤務を推進するプロジェクト発足が行われ、その後はテレワークが急速に普及したようです。

全国の支社・支店間で行われる会議や、営業担当への技術支援などは原則Web会議を利用しており、移動コストの削減が徹底されています。

「テレワーク・デイズ」といった在宅勤務推奨日を設けるなど、訓練行事も定期的に行われました

そして、2022年7月からは日本全国どこに住んでいてもリモートワークで働ける新制度「リモートスタンダード制度」が発表され、転勤、単身赴任をともなわない働き方に発展しています。

▼参考資料はコチラ
株式会社NTTドコモのテレワーク実施概要

まとめ|新しい働き方に備える環境・産業保健体制の見直しを

テレワーク導入のためには、技術面だけでなく、労務管理や健康管理の面でも環境整備が欠かせません。

とりわけ、テレワークによる環境変化によって健康面の不調をきたす従業員も出てくるケースがあるため注意が必要です。

メンタルヘルス不調やコミュニケーション不足の解消に向けての対策も備えておきましょう。

公開日: 2024.12.06
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