【薬品の「添付文書」を参考に、判断の糸口が得られます】
前回は休職者が車両運転業務に戻る際の注意点についてのお話でした。今回は、それを材料にどう復帰判断を進めていくかについて、弊社の代表産業医に聞きました。
Q:服薬の影響について、現状把握が大切というお話でした。その具体的な方法について教えていただけますか。
A:薬局で受け取る「薬の説明書」やお薬手帳のコピーを提出してもらったら、説明書であれば、注意事項が記載されているので、すぐ判断材料になりますが、お薬手帳だと処方内容のみで注意事項はわかりません。この場合、薬品の添付文書をインターネットからダウンロードして参考にします。添付文書の見方としては、「使用上の注意」欄に、「重要な基本的注意」の項目がありますから、車両運転業務について注意事項があるか確認することをお勧めします。
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資料名 |
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お薬手帳 |
薬の説明書 |
添付文書* |
確認事項 |
処方薬品名 |
使用上の注意 |
重要な基本的注意 |
役立つ点 |
処方の経過や薬の増減が把握できる |
車両運転に関しての制限事項が記載されている |
詳細な内容を確認し、作業時間等の検討材料になり得る |
Q:添付文書の「重要な基本的注意」に「自動車の運転に従事させないように」(イメージ図参照)と、注意書きがある場合は車両運転業務に戻ることはできないということになってしまいますか。
*添付文書「重要な基本的注意」のイメージ
A:この記載を厳格に解釈すると運転できないということになり、運転業務復帰が不可能になってしまうので、そこは前回、お話しした精神神経学会のガイドラインの内容も踏まえて実際の業務内容と主治医の考えを加味して判断を行う必要があります。
Q:前回、薬の半減期を考慮して、服薬のタイミングを工夫すれば、車両運転業務につける可能性があるというお話がありましたが、どのようなことでしょうか。
A:添付文書の「薬物動態」に注目すると、例えばAという薬剤の場合は経口投与の1時間後に血中濃度が最高に達し、半減期が3?6時間とあります。このような場合、夜間に服薬すると日中への影響は少ないということが考えられます。職場復帰プログラムで、当面、業務の開始時間を午後に設定するなど、ケースバイケースで判断していくことが必要となります。
Q:服薬タイミングを考慮しても、すぐには車両運転業務に戻れない場合もありますね。その場合に対応できることはあるでしょうか。
A:復職できる状況であれば、すぐには車両運転業務につけなくてもそれに近い業務、例えば台車を使った配送業務からスタートすることが可能な場合もあります。また、自転車での配送も考えられますが、自転車も軽車両には違いがないので、服薬の影響が大きい場合は慎重に判断する必要があります。