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働き方改革関連法とは?業務改善のポイントについても解説

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更新日: 2024.05.01
働き方改革関連法とは?業務改善のポイントについても解説
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この記事を書いた人:ワーカーズドクターズ編集部

産業保健に関する情報を幅広く発信。産業医業界で10年以上、約1,250ヶ所の事業場の産業保健業務サポートをしているワーカーズドクターズだからこその基礎知識や最新の業界動向など、企業様の産業保健活動に役立つ情報をお届けします。

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「働き方改革関連法」とは?

働き方改革関連法_1.jpg

2019年4月より「働き方改革関連法」が順次施行されています。
現在日本では、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く人のニーズの多様化」などの状況に直面しています。こうした中、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。
「働き方改革」は、長期的な労働者の確保のために、働く人の置かれた事情に応じ多様な働き方を選択できる社会を実現することを目的としています。

働き方改革関連法案のポイント

働き方改革関連法の施行スケジュールは以下の表の通りです。

image2.png働き方改革関連法施行スケジュール(厚生労働省 愛知労働局「働き方改革関連法の概要」より)

働き方改革関連法の9つのポイントとその概要を見ていきましょう。

ポイント1.時間外労働の上限規制

大企業、中小企業にかかわらず、残業時間の上限が制定され、月45時間、年360時間を超える残業が原則としてできなくなりました。

​​①原則
月45時間、年360時間
②特別な事情がある場合のみ
・年720時間以内
・複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
・月100時間未満(休日労働を含む)
しかし、月45時間を超えての残業は年6ヶ月までです。

ポイント2.「勤務間インターバル」制度の導入

「勤務間インターバル」制度とは、1日の勤務時間終了後から翌日の勤務開始までの間に一定時間以上の休息時間を確保する制度です。この制度の導入の目的は、従業員の十分な休息時間、生活時間の確保です。明確な時間の指定はありませんが、11時間のインターバルが必要とされてます。この制度の導入は企業の努力義務となっているため、制度の導入に取り組みましょう。

ポイント3.年次有給休暇の取得義務付け

年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対して、1年以内に時季を指定した5日の年休を与えることが義務付けられています。年次有給休暇の目的は労働者の心身のリフレッシュを図ることで、原則として労働者が取得したい時季に与えるものです。しかし、職場への配慮やためらい等の理由から取得率は低い傾向にありました。この状況を改善するため、企業側が時季を指定して取得させることができるようになりました。
また、労働者が申し出て有給を取得した場合や計画年休によって有給を取得した場合、その取得日数はこの「5日」から除外されます。

ポイント4.時間外労働の割増賃金率引上げ

月60時間を超える時間外労働の割増賃金率は50%とされています。この割増賃金率は大企業のみでなく、中小企業も同様となっています。
さらに、深夜(22時~5時)までの時間帯に時間外労働が発生する場合は、深夜割増賃金率25%+時間外割増賃金率50%の、計75%の割増賃金率に​​なります。

ポイント5.労働時間の客観的な把握の義務付け

労働時間の管理について、自己申告などではなく、客観的な方法での管理が義務付けられています。例えば、タイムカードやWebでの打刻、PC等の使用時間の記録などです。
労働時間の客観的な把握により、長時間労働をしている労働者は産業医との面談を行わなければなりません。

▼関連記事はこちら
過重労働面接(長時間労働者に対する医師による面接指導)とは?

ポイント6.「フレックスタイム制」の拡充

フレックスタイム制の清算期間が1ヶ月から3ヶ月に延長されました。
清算期間内の法定労働時間から、実際の労働時間を引いて超えた時間は時間外労働となり、割増賃金の対象としなければなりません。​​
フレックスタイム制を導入することで、従業員の多様な働き方に対応できます。また、労働時間を効率的に配分することができ、生産性の向上にも繋がります。

ポイント7.「高度プロフェッショナル制度」を創設

「高度プロフェッショナル制度」とは高度の専門技術等を有し、一定の年収を満たしているなどの労働者を対象に、本人との合意が取れている場合のみ、労働基準法に定められた労働時間や休日・深夜の割増賃金に関する規定の対象外とする制度です。
対象者や制度について詳しくは下記を参照してください。

▼参考資料はコチラ
厚生労働省 ⾼度プロフェッショナル制度 わかりやすい解説

ポイント8.産業医・産業保健機能の強化

産業医は従業員の健康管理を行う上で重要な役割をになっています。
働き方改革関連法により、産業医の独立性と中立性が強化される条項が追加されました。また、事業者は産業医へ従業員の健康管理に必要な情報を提供することを義務付けられるなど、産業医の権限がより具体化され、強化されました。
そのほか、上述の「時間外労働の上限規制」「労働時間の客観的な把握」と関連して、産業医の職務のひとつである、長時間労働者に対する面接指導が強化されています。

▼参考資料はコチラ
厚生労働省「「産業医・産業保健機能」と 「長時間労働者に対する面接指導等」が強化されます」
▼関連記事はコチラ
産業医とは?臨床医との違いや、業務内容を解説

ポイント9.同一労働・同一賃金

この制度は正社員と非正規雇用労働者(パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者)の間で待遇面での格差を解消し、公正な待遇の確保が定められたものです。
これらの格差を解消するために「均衡待遇」と「均等待遇」という規定が設けられています。

「均衡待遇」とは、正社員と非正社員の職務内容、職務内容・配置の変更範囲が異なる場合でも、内容を考慮し、不合理な待遇差を禁止するものです。
「均等待遇」とは、正社員と非正社員の職務内容、職務内容・配置の変更範囲が同じ場合、差別的取り扱いを禁止するものです。

働き方改革関連法で企業に求められること

働き過ぎを防ぐことは、働く人の健康を守り、ワークライフバランスが整い一人ひとりの豊かな人生につながると考えられています。
また、長時間労働によって疲弊することで、体調不良はもちろんのこと、心の不調をも引き起こします。
結果的にかえって生産性を低下させることになり、業務を消化することが目的での残業が恒常化されているならば、結局意味をなさないことになってしまいます。これから解説することを取り入れ、働き方の改善に取り組みましょう。

多様な働き方の整備

従業員の多様な働き方が可能になるよう、テレワークの導入が求められています。テレワークの導入によって場所や時間が柔軟になり、働きやすい環境につながるでしょう。
テレワークを導入していない企業は制度作りから必要になります。いち早く導入し、従業員の働き方の改善に繋げましょう。

業務効率化

働き方改革関連法は、長時間労働の抑制や、より多様な働き方の確保などを目的としています。しかし、ただ残業時間を短くするだけでは、それまでの労働成果を維持することは難しいでしょうし、多様な働き方でかえって生産性が低下してしまうことも考えられます。
働き方改革をより良いものにするには、業務の改善や効率化を検討する必要があるでしょう。
働き方改革関連法を、ぜひ業務の見直しのきっかけにしてください。

▼従業員の生産性を向上させるためのアイディアについて詳しくはコチラ
職場環境改善で従業員の生産性が向上!すぐに実践できるアイデア19選

産業医との連携

現在日本では、少子高齢化の進行に伴い生産年齢人口も減少し続けています。そのなかで労働力を確保するためには、より多様な働き方を推進し、健康で長く働ける仕組みをつくることが必要です。健康経営への取り組みや、産業医との連携による健康管理などに積極的に取り組みましょう。
2019年4月から、労働安全衛生法の改正で「産業医・産業保健機能」と 「長時間労働者に対する面接指導等」が強化されました。産業医の先生に積極的に関わっていただき、従業員の方自身が、健康に対する意識を持ってもらえるように促していきましょう。

ストレスチェックや長時間労働者との面接など産業医との連携が規定で定められているものの他にも、日常的に産業医と従業員の健康状態や労働状況を共有していく必要があります。

「働き方改革関連法」をきっかけに業務の見直しを!

働きやすい社会の実現に向け、「長時間労働の是正」「正規・非正規間の格差解消」「多様で柔軟な働き方の推進」を3つの柱にした「働き方改革関連法」が施行されてきました。

これに伴い、企業には今までの業務や企業文化を見直すことが求められています。テレワークの推進や、産業医との連携を強化したりするなど、従業員が健康に長く働けるような環境づくりを行いましょう。

2024年まで、「働き方改革関連法」の時間外労働の上限規制は自動車運転の業務や建設事業など一部の事業・業務では対象外となっていました。しかし、2024年からそれらの事業・業務も規制の対象となります。

特に自動車運転の業務では、時間外労働の上限規制に反している場合も多く、対策が必要です。従業員の適切な健康管理を行うことは継続的な勤務や業務効率化にもつながるため、積極的に取り組みましょう。

▼参考資料はコチラ
厚生労働省「働き方改革関連法案について(厚生労働省HPより)」

公開日: 2019.07.15
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